QUICK掲載記事の抜粋(平成16年3月5日午後4時15分配信) 千葉大が社会人の"アナリスト"研究生を募集--「考え方」教える・榊原教授に聞く -----同プログラムは金融業界を中心に社会人学生を募り、都心で経済学・ 統計学の基礎を徹底的に教育する。2001年から開講して一期生はすでに昨 年卒業。その半数近くが大学院の博士課程に進んだ。同プログラムを主宰 する榊原健一・千葉大学法経学部教授に話を聞いた。------ 社会人が実務知識を学ぶ実務型の大学院は多い。だが、実務知識ならば実業 界で働いている社会人の方が数段レベルが高い。現場で働く社会人が大学院 に求めるのはむしろ、実務で身に付かず大学で教育可能なものだろう。我々 はこれを「考え方を教える」ことだと考えた。 受講生との議論でも感じることだが、社会人は理解力も論理展開力も十分に 備えている。しかし、その多くで論理展開力の「基準」が欠けていると思う。 いわば「根っこ」のようなものだ。それが無いから議論しても勝てないし、 考えが変わってしまったりする。根っこから論理を展開する、そういった考 え方を身に付けてもらいたい。 社会人は講義に参加できる時間がほとんど無く、定期的に授業を行うのは非 常に難しい。そこで隔週の土曜日に授業を行い、可能な限り基礎的な科目に 絞った。それがミクロ経済学、マクロ経済学、そして統計学(金融工学を含 む)だ。これらの基礎科目を徹底的に教育すれば、なんとか「考え方」を理 解できる。 宿題とインターネットを活用することで、時間や場所の制約を減らしている。 また、社会人は大学で学んだことを忘れているため2年間の修士課程の最初 の半年を社会人の苦手な数学を含めた大学時代の復習に当て、その後の一年 で講義を行う。最後の半年が修士論文を書く期間だ。 2001年に入学した11人は無事に卒業し、半数近くは博士課程に進んだ。もっ とも、研究者を目指すのではなく、判断力を養うことが自分の仕事に役立つ と考えているようだ。2002年度は15人、2003年度は9人の社会人が入学し、 勤務の傍らで勉学に勤しんでいる。------