2005.4.17

 

414日から16日まで、こちらはピーマイ(Pi Mai) という正月休暇に入ります。新年は、太陰暦で2548年とのことです。ちなみに、ネパールの友人からの電子メールでは、かの地の新年は2062年とのこと。数字は違っても、新年を祝う時期は同じのようです。ここラオスでは、年間で一番暑い季節といわれ、本格的な農作業が始まる少し前でもあります。この時期に祭りを行って休む習慣が、新年に発展していったように思えます。

 こちらの新年は、別名水掛祭りと呼ばれています。この時期は、道行く人だれにでも水を掛けてよい(掛けてあげる?)ことになっています。タイ・カンボジアでも見られる習慣とのことです。年間で一番暑い時期であることから、まさに「合理的な」風習なのでしょう。 

 と当初は長閑な考えを抱いていますたが、下宿先のレストランがピーマイ前後一週間にわたって閉めるので、雑談の中でご主人に理由を伺ったところ、「危ないですから」とのご返事。水掛はかなり激しい模様。以下、14日の日記と後日談です。

 

2005.4.14

ピーマイ休日初日。日本で言うと元旦である。朝6時前に目が覚める。昨晩は隣の文化会館からの音楽がうるさかったが、今朝は静か。心なしかケタケマしいバイクの通行も少ないような気がする。しかし涼しい。起きた時にTシャツの首筋が汗でびっしょりとなっていたほどの熱さが続いていたが、昨日からやけに涼しい。雨が降りそうで降らない天気が、この涼しさをもたらしているよう。年間で一番暑いはずのピーマイにしては、異常気象か。窓からの風がひんやりと心地よい。

 噂の水掛が始まっているかと、恐る恐る窓から外を見る。えぇ、前の雑貨屋さん兼軽食屋のおばさんは、いつもどおり揚げパン作りに励んでいる。文化会館側の窓に目を移すと、托鉢のお坊さんの行列が通り過ぎていく。いつもとあまり変わらない光景である。

 それでも用心して財布をビニール袋に入れてから、朝食に出る。水鉄砲やバケツを持った奴がいないかと、キョロキョロ見回す。少な目とはいえ、人や自転車、そしてバイクがいつものようにHengboun通りを通り過ぎていく。通行量は土日並みか。ただ、閉めている店が確かに多い。半分近くは閉めているかもしれない。閉まっている店があるためか、行きつけのヌードル屋さんはいつもより混んでいる。入ってすぐのいつものテーブルはとれず、奥に進んだ。食べている最中、店の前をゴミ回収のでかいトラックが通り過ぎていく。きちんと回収している。本当に正月か、という気になってくる。

 怖いもの見たさで、食後はプラプラと散歩する。IT zone 近辺は人がまばら。屋台が2軒出ているくらい。左に曲がってChao Anou road をメコン川のほうに進む。中国系のレストランやヌードル屋は開いている。Setthathliat 通りで左折。ここにでかいお寺がある。寺の前には物売りがちらほら。お坊さんの指示で、Happy New Year (英語の表記も下にあった)の垂れ幕が門に掛けられていた。昼間には喧騒が始まるかとの期待も。Nokeo Koummane Road French Bakeryは閉まっていた。17日に開店とのこと。ラオス到着後しばらく滞在していたVayakorn Guest House の前を通る。部屋の掃除をしてくれていたお兄さんが、下水道工事で土むき出しの道路にホースで水を撒いていた。軽く会釈。覚えてくれていたのか、笑顔を返してくれる。濡れることなく、その危険すら感じることなく無事帰還。

 

 上記のピーマイの水掛をいささかナメタ文章は、後に大間違いと分かる。単に、水掛の主役である若人が、朝寝坊していたに過ぎない。昼過ぎからは、町中に歓声と悲鳴が響き渡る。ピックアップにでかいバケツを乗せ、手桶と水鉄砲で水を掛け合う若者達が中心だが、それだけでもない。前の店の人など、子供をゴムプールに入れながら、ホースで道行く人達に水を掛けている。子供達は、水鉄砲・小型のバケツで誰彼構わず水を掛けている。昼食時に、あわよくば写真をとデジカメをビニール袋に入れて持ち歩いたが、あまりの水掛の激しさに、オッカナクテ人のいるところには近づけない。観光客の集まるScandinavian Bakery の前でも、トゥクトゥクに乗った子供達が水を掛けようと待ち構えている。韓国か台湾からの観光客のおばさんが水を掛けられ、NO,NO,と怒っていた。伝統なので致し方ないが、特に掛けられたいとも思わないので、わたしはとっとと逃げ帰りました。

 

 以後16日の夕刻まで、街は水掛の歓声で溢れる。先述のように、主役はピックアップにでかいバケツを乗せ、手桶と水鉄砲で水を掛け合う若者達。どこにこれだけのピックアップがあったのかと思うほど。ただし、水掛が始まるのは昼ごろから。朝の街では見られない。また、日が沈むと自然に終わるようです。水以外にも、白や赤い粉を道行く人に掛ける光景も見られました。仏教のお祝いでしょう。

 

 

以下私の考えるピーマイ対応法。

1)     せっかくの海外旅行(または滞在)、現地と同化し、水掛を徹底的に楽しむ。ちなみに同じアパートの別の日本人の方は、メインストリートのSamsenthai Roadで、大家さんの家族共々、道行く車・バイクに、半日バケツで水をぶっ掛けていたそうです。

2)     シャッターチャンス!防水機能付カメラを手に、街に寺に繰り出す。ただし、生活防水機能程度で、この水掛の激しさを乗り切れるかは不明。

3)     この季節、年間でもっとも暑い季節でもある。旅行者用・地元用問わず、食堂・店もかなり閉まってしまう。ピーマイ期間中の旅行は避ける。日本人長期滞在者の多くは、この時期に一時帰国、または近隣諸国への旅行に出ている。暑さに加えて、正月休暇・関連行事が続き、あまり仕事にならないのが主な理由のようです。日本でも、年末・年始に仕事で人が来たら困りますよね。

 

どれを選ぶかは、個人の性格次第でしょう。ただ、横から水をぶっ掛けられて、鼓膜が破れるケースもあるとのことです。掛けられる際はいたし方ありませんが、掛ける際は注意しましょう。とはいえ、掛けている人たちは熱狂してしまっているのだと思いますが・・・。